コーチングと
他業種の比較

コーチングとコンサルティングの共通点として「行動を促す」という目的がありますが、そのアプローチの方法に相違点があります。

コンサルティングでは、クライアントのテーマに対してヒアリングした情報をもとに、その分野の専門家が目標を達成するための戦略と行動プランを考え、その答えをクライアントに与えます。緊急の案件の場合にはすぐに答えが見つかるというメリットはありますが、解決したいテーマにマッチした専門家を探さなければ効果を得ることができないというデメリットがあります。

コーチングでは、クライアント本人が目標を達成するための行動計画を考え、自分自身で答えを見つけることを促すアプローチをとります。すなわち、「答え」は相手が持っていて、コーチはそれを引き出す手伝いをするという普遍的なスキルであるので、複数の異なるテーマであっても対応することができます。継続的にコーチングを受けると、クライアントが自然とセルフコーチングできるようになってくるため、契約期間が終了後もある程度の問題であればクライアント自身が解決できる能力を身につけられます。

コーチングとカウンセリングは、相手の話を良く聞き、質問によって答えを引き出すという点は共通していますが、それぞれに目的が異なります。

カウンセリングは、主に現在抱えている問題の原因は過去にあると考えます。「なぜその問題が生じたのか」というように、クライアントとともに過去を振り返り、さまざまな事柄について深く掘り下げていき、過去の原因を明確にして問題を解決していきます。

コーチングは、未来に向けて相手の行動を促すことで成果を手に入れるアプローチをします。つまり相手が未来に向けて行動を起こす、あるいは行動を変えるというのが、コーチングの成果を測る一つの指標です。コーチはクライアントが目指すべき状態を手に入れるため、それぞれの現状とゴールをできる限り明らかにします。そして目標を実現させるために「これからどうするのか」ということを基本テーマとしています。

コーチングとティーチングはともに相手の能力を高めるという点は共通していますが、それぞれに手法が異なります。

ティーチングは複数の人に対して、「同じ内容」を「同じ方法」で「同じ速度」で伝える画一的指導法です。例えば製造現場で新しい機械が導入された場合は、複数のオペレーターに対してティーチングを行うことは非常に効果的であり、誰が操作しても同じ品質のものを作り上げるといった業務には非常に適したスキルといえます。

コーチングは、相手の個性・特徴・性格に合わせて「内容・方法・速度」を変える個別的指導方法であり、相手に教えないで考えさせるという点がティーチングとは大きく異なります。したがって部下指導・業務改善・新商品開発といった分野に特に適したスキルです。